茶入の定義って何?どんな種類があるの? 今回は茶入について、その特徴や歴史、分類を詳しく見ていきたいと思います。
Contents
茶入とは何か?
茶入(ちゃいれ)は濃茶のための抹茶を入れておく器です。ちなみに、薄茶のための抹茶を入れておく器は棗です。茶入のほとんどは唐物、瀬戸物です。稀に織部や志野の茶入もみかけますが、本流ではないでしょう。
ちなみに、茶の場では、茶入は茶碗に並ぶ主役級のアイテム。仕覆と呼ばれる包みをいくつも用意し、着せ替えをしてあげることもよくあります。また、牙蓋とよばれる蓋もいくつも用意することも。収納のために、普通の箱だけでなく挽家(ひきや)と呼ばれる上等の入れ物をこしらえたりします。名物と呼ばれる茶入のほとんどは挽家がついてくるはずです。さらに、お盆も重要なアイテムです。漆の極上のお盆を用意することもよくあります。
たかが茶入、たかが7〜8cm程度の小さな入れ物にすぎないと侮ると、恥をかきかねません。なかでも、茶入の種類については、一筋縄では理解が追いつかないところもあるかと思います。そこで今回は茶入の特徴と種類についてまとめてみました。
茶入の歴史をざっくりおさらい
日本の「茶入」の起源は、一説に中国の油壺にあるといわれております。伝来したのは鎌倉時代あたりだとか。当初は中国と同じように油を入れる小さな壺として使われていたのではと思われますが、詳細はちょっと不明です。
その後、室町時代に入り、茶の湯が少しずつブームに乗ってくると、抹茶を入れる容器として使われ始めました。その流れで自然と優品が選ばれるようになり、特別優れた茶入は「名物」として銘が付けられていくことになったのでしょう。
戦国時代に入ると、茶の湯ブームはさらに盛り上がりを見せ、茶入は一国に匹敵するほどの価値を携えていきます。この背景には、諸説あり一つに手柄を立てた大名への褒美として土地を提供することに限界が生じたのではとも言われています。
牙蓋(げぶた)
蓋も色々な材質でできていますが、象牙の蓋が一番良いとされています。特に、「す」という虫くいのようなものが一本はいっていると、上物と言われます。また、筋のつきも細かく均一ではないのが良いとされていますね。
仕覆(しふく)
茶入を包む布で裂地ともよばれます。古い裂地は非常に価値が高く、それだけでもかなりの高額の値がつくことも。仕覆は1つだけでなく、いくつも用意することもあります。また、仕覆の緒の結び方は、流派によってく変わってきたりしますね。結び方もしっかりと覚えておくと良いかもしれません。
茶入の種類
古くは唐物が最上級とされていますが、古瀬戸の茶入もなかなか評価が高いものもあります。天下三肩衝もみな唐物ですね。ちなみに、形状が結構多岐に渡りますので、代表的な形状についてまとめて紹介していきます。
茶入の種類1:肩衝茶入(かたつきちゃいれ)
最も代表的な茶入の種類といえるでしょう。がっしりとした肩から流れる釉薬の溶け方で、茶入のランクが変わってきます。 もちろん、形状も重要です。が、釉薬の溶け方がどれほどのものかが最も高評価につながっているのではともいます。
- 銘:
- 古瀬戸肩衝茶入『青龍』
- 所蔵:
- 恵比寿屋
茶入の種類2:文琳茶入(ぶんりんちゃいれ)
文琳は昔の言葉で「りんご」を意味したのだとか。というわけで、この茶入の形状はリンゴのように丸っとしています。首はそれほど長くはありません。肩衝の角張りがなく、胴からそこにかけて丸まるとしているイメージですね。
- 銘:
- 唐物文琳茶入『若草』
- 所蔵:
- 泉谷博古美術館
茶入の種類3:茄子茶入(なすちゃいれ)
名前の通り、茄子のような形をした茶入です。そこに向けてお尻がプックらとふくれているものが多いですね。文琳とは異なり、首からそこにかけてずっと広がっていくカタチですね。
- 銘:
- 唐物茄子茶入『付藻茄子』
- 所蔵:
- 静嘉堂文庫美術館
茶入の種類4:大海茶入(たいかいちゃいれ)
高さが無く口が広いのが大海茶入の特徴です。名物は少ないように思いますが、茶の関では使いやすい茶入ではないでしょうか。何せ口が大きいですから、棗のように抹茶がとりだしやすいです。
- 所蔵:
- 恵比寿屋
茶入の種類5:丸壷茶入(まるつぼちゃいれ)
文琳茶入の首を少し長くしたのが丸壷茶入。分離んがかわいらしいのに比べ、首が少し長いため丸壷はちょっと上品さを感じます。これより首が長くなると、「鶴首茶入(つるくびちゃいれ)」と呼ばれる分類に入るのだとか。鶴のように長い首は、ちょっと間抜けな印象も受けてしまいます。
- 銘:
- 重文 瀬戸丸壺茶入『相坂』
- 所蔵:
- 根津美術館
茶入一覧
所蔵:野村美術館 高さ:10.7cm 口径:2.7cm 底径:4.5cm 茶入の完成形 「餓鬼腹」というなんとも凄い名前のついた茶入。名前の由来は『巻物に描かれた地獄絵図に描かれている痩せて下腹が張っ …
所蔵:泉谷博古美術館 高さ:6.4cm 口径:2.3cm 底径:2.7cm まぁそこそこの茶入 銘に「若草」とつけられているように、見所はまだまだ磨きがかけられそうな一品。良い意味で若いといいたい。も …
所蔵:五島美術館 高さ:6.3cm 口径:1.9cm 底径:1.8cm 茶入の完成形 一筋入った釉薬の溶け方がお見事というほか無い茶入。地肌は黄味がかかっており、これもまた珍しいです。手取り感はとても …
所蔵:根津美術館 高さ:6.4cm 口径:2.5cm 底径:2.9cm 丸壷茶入の筆頭 「相坂」の見所はなんといっても釉薬の溶け方。黒と黄色が絶妙に折り重なった艶かしい風貌に、一目で虜になります。形状 …
所蔵:藤田美術館 高さ:9.6cm 口径:3.0cm 底径:3.0cm 轆轤の跡がしっかりと付いてます 轆轤目がしかkりと残った状態の茶入は珍しいです。茶碗なんかでは轆轤目も評価のひとつになっています …
所蔵:香雪美術館 高さ:5.7cm 口径:2.1cm 底径:2.7cm 茶入の完成形 名前の通り半月が胴部分に現れています。また、釉薬の溶けた部分の模様を雲に見立てることも出来るかもしれません。大きさ …
所蔵:藤田美術館 高さ:5.9cm 口径:2.7cm 底径:2.8cm 見所は指跡? 「国司」の見所はというと、指跡ではないでしょうか。制作者が不意につけてしまったであろう指の跡のような模様が、良い景 …
所蔵:福岡市美術館 高さ:N/A 口径:N/A 底径:N/A 胴部分の丸さがカワイイ茶入 肩衝にも幾つかのタイプがあります。1つは上半分と下半分の形状が似ているタイプ。もう1つは上半分より下半分の方が …
所蔵:野村美術館 高さ:N/A 口径:N/A 底径:N/A 瓢箪型の茶入は遠州様好み? 名前の通り瓢箪のようなカタチをした茶入。この「上杉」は景色が極めて美しい一品であります。肩衝よりは柔和に、茄子よ …
出典
- wikipedia